オーボエダモーレとは、オーボエ属のダブルリード楽器で、オーボエとイングリッシュホルンの中間の音域です。オーボエダモーレはオーボエと比べて若干リードのサイズが大きいことから、オーボエよりも演奏がしやすいと一般的には言われています。楽器の見た目の特徴は、イングリッシュホルンと同様ベル部分が丸みを帯びて膨らんでいることと、オーボエとイングリッシュホルンの中間ほどのサイズであることです。イ長調の移調楽器で、オーボエと比べると少し柔らかくしわがれたような音色が特徴で、直訳すると「愛のオーボエ」と言われるのは、その音色から来ています。オーボエダモーレとはバロックフルートやチェンバロと相性が良いとされています。
運指
オーボエダモーレ の運指はオーボエと共通しており、奏法もほぼ同じであることから、オーボエ奏者がそのまま持ちかえて演奏するものであり、オーボエダモーレのみ演奏するというプレイヤーはほとんどいません。
音域
オーボエダモーレの出る音域は、オーボエやイングリッシュホルンで賄えてしまうため、オーボエダモーレを使用する頻度は極めて少ないと言われています。
誕生
元はバロック時代に誕生し、ヨハン・セバスティアン・バッハがこの音色を非常に好み、「ロ短調ミサBWV.232」や「マタイ受難曲」にてオーボエダモーレを使用しています。その他の教会カンタータでも重要なオブリガートの役割をオーボエダモーレに与えており、バロック時代の作品では使用頻度が最も高いものとされています。
隆盛期
バロック時代はオーボエダモーレのための協奏曲作品も多く作曲されており、現代でも有名な作曲家の中になるとトマゾ・アルビノーニは2本のオーボエダモーレ、2本のコルノ・ダ・カッチャ(ホルンの祖先の楽器で、ナチュラルホルンのようなつの笛)、ファゴットのための協奏曲を、ゲオルク・フィリップ・テレマンはオーボエダモーレ協奏曲を6曲も作曲し、ヨハン・フリードリヒ・ファッシュも協奏曲の作曲を手掛けていました。
バロック時代でのオーボエダモーレは現代で使用されている改良されたものとは違い、システムも簡素で音域も狭く不便ですが、現代のものとは音色が違い独特であることから、あえてバロックシステムのものを演奏会で使用する場合もあります。近代ではモーリス・ラヴェルの「ボレロ」で のソロや、リヒャルトシュトラウスの「家庭交響曲」で登場していますが、新しい時代での作品では現代のシステムのオーボエダモーレを使用します。
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