オーボエの難しさは、音程を作ることにあります。あまり知られていませんが、オーボエは「作音楽器」と呼ばれ、その意味はそのままで「音をつくる楽器」なのです。他の木管楽器の場合、正しい運指で息を吹き込めばその音がたいていは出てしまいますが、オーボエの場合は違います。出そうとしている音をイメージしなければ、その音程で音は出てくれないのです。感じとしては金管楽器に近いものがあります。金管楽器は3つないし4つのピストン・ヴァルブがあり、おなじ運指で何個もの音を倍音で出していきます。その際に低音を吹く場合の息の入れかた、そして高音の時の息の入れ方では、相反するイメージが必要となります。オーボエは同じ運指で違う音を出すことはありま せんが、1つの音に音程の幅が非常にあるため、どこを正しい音程とするかは奏者次第となってきます。金管楽器の場合はマウスピースは消耗品ではないですが、オーボエの場合はさらにリードや楽器によっても出る音程は変わります。リードの開きが大きいと、全体的にピッチは下がりやすくなります。そして開きが小さいと、ピッチは上がりやすくなります。その原理は、蛇口にホースをつなげて水を撒くときのことをイメージしていただくと分かりやすいのですが、蛇口をひねって水をホースから出すだけだと、水には勢いはありません。そこで指をつかってホースの先端をギュ!とおさえると、一気にスピードが増して水が出てくるかと思います。そのホースの狭さによって、同じように水を流していてもスピードが変わります。これと同じで、オーボエも同じ息のスピードであっても、リードの開きによって出る音の音程が変わります。この音程が、でた水の勢いと考えてください。リードがたとえ開いていても、たくさんの息を吹き込めるパワーがあれば問題なく音程をキープできますが、それも長くは継続できません。音程をただしくしていくためのポイントに、リードの開きが入ってくるのです。
また、リードだけでなく楽器に問題があることもかなり多くあります。オーボエはほかの木管楽器よりも金属の占める割合が多く、調整もとても狂いやすくなっています。運指にもやや無理があり、「ヘ音」には3つの運指があります。その中の「フォークF」と呼ばれる運指の音は、正規の指使いとは違ってあくま でかえ指のため、ピッチが下がりやすくできています。このような運指はほかにもあり、奏者の演奏技術でカバーしていく必要があります。
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